【しばし探検隊 vol.1】世界に誇る舞踏、その第一線で活躍する今貂子ってどんな人? - 5月9日(土)開催「しばしで舞踏」に出演

今貂子(いま・てんこ)|Photo: Kaori Yoshimoto (Kyoto Dancers Archive)

2026年5月9日(土)、舞踏家・振付家・演出家として世界的に活躍する今貂子(いま・てんこ)さんと、前座に染師として活動する傍ら、今貂子さんのもとで表現を学び、2025年3月には個展「青鬼の息づかい」をしばしで開催した青乃助藤妄(あおのすけふじもう)さんをお迎えして、しばし初となる舞踏企画「しばしで舞踏」を開催します。

◯予約サイト
sibasi-de-butoh-second-session.peatix.com
*リンクはプロフィールにて

ライブやアート鑑賞など、心が動く瞬間は多くありますが、今貂子さんの舞踏、そして表現は、それらとはまた違ったレベルでの感動といいますか、初めてその表現を体感した際、「なんて高純度で高濃度なんだろう」と興奮したことをよく覚えています。知識がなくても、本能的に何かをキャッチしたのだと思いました。

そんな経験もあり、舞踏に馴染みがない方にも(いや、馴染みがない方にこそ)ぜひ今貂子さんの表現を体験してほしいと思っているのですが、「舞踏に興味はあるけれど、イメージがつかず、躊躇してしまっている」という方もきっと多いはず。

本記事では、過去の公演の様子を映した動画等も交えながら、舞踏とは?今貂子とは? 「しばしで舞踏」だからこそ体験できることって何? といったことを紐解いていこうと思います。

1. 根源にあるのは、命とは? 人間とは? の問い。世界的に高く評価される舞踏とは
日本独自の前衛的な踊りである舞踏は、舞踊家・振付家である土方巽の1959年の公演「禁色」が出発点だといわれています。

特徴は、西洋で発生したバレエ等とは全く異なる身体へのアプローチで、内面から出てくる身体の表現を追求すること。決められた通りに動くのではなく、自身の肉体をむき出しにするのが舞踏なのです。公演やワークショップが海外で行われることも多く、世界的に高く評価されています。

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海外アーティストの映像作品に出演した今貂子。ともに映るのは、「しばしで舞踏」に前座として出演する青乃助藤妄

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舞踏を多層的に描いたドキュメンタリー作品「INVISIBLE PEOPLE」にも出演

今貂子さんの過去のインタビューに「舞踏は、1959年、モダンダンスの中からでた先鋭的な身体表現です。始めた人たちは、第2次世界大戦で、生と死に直面した世代に当たり、根源には、命とは?人間とは?と、問いかけがあるように思います」という一文がありました。根源にあるその問いかけこそが、ほかの表現では得られないものにつながっているのかもしれません。

2. 文化庁芸術祭優秀賞も受賞京都を拠点に世界で活躍する今貂子とは
今貂子さんが舞踏に出会ったのは21歳の時のこと。「自分の人生をかけてみる何かがある」と直感し、1980年、京都の舞踏グループ「白虎社」の創立に参加するため、地元の群馬を離れたのだそうです。

それ以来、京都を拠点に、国内のみならず、海外でも数々の公演を行っている今貂子さん。舞踏に新しい命を吹き込み、ひと・もの・空間との出会いを重ね、京都ならではの伝統と現代を融合させた独自の境地を開拓。2020年には今貂子舞踏公演「金剛石-Diamond-」が、令和2年度文化庁芸術祭優秀賞を受賞しました。

令和2年度文化庁芸術祭優秀賞を受賞した今貂子舞踏公演「金剛石-Diamond-」

衣装家・大野知英とのコラボレーション作品「Dawn」

精力的に公演を行うほか、京都の東九条にある今貂子舞踏研究所では、初心者も参加可能な舞踏ワークショップも開催。21世紀の新たな前衛として、各方面から注目を集める存在なのです。

3. 築100年の町屋で体感する舞踏、そして命の表現。100年間の時が滲む空間 × 舞踏はどんな化学反応を起こすのか

「しばしで舞踏」の会場となるしばしは、1925年に建てられた町屋をリノベーションした空間です。しばしの中心には、ビンテージオーディオシステムがあり、その豊かな音に風情を添えるのは、窓の外に見える竹林。喫茶やばーとして営業しながら、落語やライブといったイベントも定期的に開催しています。

今回の「しばしで舞踏」は、第一部・第二部ともに定員25名。とても近い距離感でその身体表現を体感できる、特別な機会となります。

また、今回は第一部を「静寂の舞踏」、第二部を「音響の舞踏」として、それぞれ異なる演出で開催します。まさしく「しばしで舞踏」でしか体験できない踊りをぜひ体感してみてください。

◎第一部 ー 静寂の舞踏
前回同様、無音という環境の中、その瞬間にお二人の内側から出てくる身体表現が楽しめる内容。5月の心地よい季節ということもあり、今回は第一部のみ窓を開けて開催する予定です。

お二人の息遣いや建物の響く音、そこに外から入ってくる音も混ざり合った空間での公演は、まさに、その瞬間、その場所にいた人のみが体験できる舞踏です。

◎第二部 ー 音響の舞踏
今貂子、青乃助藤妄それぞれが選んだレコードの音に合わせた舞踏を展開。楽曲を用いた公演は過去にも多くありますが、しばしの真空管オーディオ・システム(ちなみに、スピーカーは英国製LOCKWOODで、ザ・ビートルズやピンク・フロイドらが、スタジオ・モニターとして使用したものと同型)から響く音での踊りは、また一味違った印象を受けることでしょう。

新たな挑戦で、また面白い化学反応が起こりそうな予感。使用する楽曲は、今貂子さんがジョン・コルトレーン「至上の愛」、青乃助藤妄さんが冥丁「瑪瑙」です。

しばし 店内の様子

きっと、どんな場所であったも、お二人の表現は素晴らしいものでしょう。しかし、その空間と共鳴することで、想像以上のことが起こることもあると思うのです。

今貂子さんの言葉を借りれば、日々、舞踏は新しい。5月9日、しばしという空間で、いったいどんな舞踏が生まれるのか。その空間に居合わせた人のみが得られる醍醐味を存分にお楽しみください。

また、第一部・第二部ともに、終演後にはお二人との交流タイムを設けています。加えて、第二部の公演終了後は「しばし ばー」として営業するので、そのまま滞在し、お食事やお飲み物を注文いただくことも可能です。毎回、ライブ後の「しばし ばー」は、初対面の方同士の交流も生まれ、和気藹々とした良い空気が流れています。

舞踏が初めてという方も、気兼ねせず、足をお運びください。そして、こういった時間も含めて、「しばしで舞踏」をお楽しみいただけたら嬉しいです。

4. 「第二回 しばしで舞踏」に向けて、今貂子さん・青乃助藤妄さんからメッセージ

◎ 今貂子
晩秋に開催した第一回では、庭や周囲の自然へと続いていく「しばし」の空間に自分の体を置くこと(供えること)で、自分の感覚をひらいていくような、これまでに味わったことのないような体験をすることができました。自分の輪郭がふだんより淡くなり、空間・環境と溶け合うようなやわらかな身体になっていったのが印象に残っています。

第二回へと続くことがうれしく、今回は初夏の「しばし」の空気感や光、蝋燭の明かりのなかで、「第一部 ー 静寂の舞踏」「第二部 ー 音響の舞踏」ともに踊ることがとても楽しみです。

第二部で使用する楽曲は、ジョン・コルトレーンの「至上の愛」を選びました。若いころに旅先で出会った曲が、ただ天から降ってくるように思い浮かび、この曲で踊ることに決めたのです。

「至上の愛」というタイトルは、まるで、宇宙の果てからの人間への問いかけのようにも思われます。名盤で、私にとって挑戦ではありますが、しっかりと踊っていきたいです。

◎ 青乃助藤妄
今回の公演は第一部と第二部で演出が異なるので、私にどんな表現ができるのか、大切にしたい軸の部分を考えながら稽古を始めました。私の今回のテーマは「幼と老」です。

冥丁さんは、日本文化から失われつつある感覚や記憶を現代的な感性で再構築しながら音楽活動を続けておられます。そのお姿に自分の活動と通づる点を感じ、普段からよく楽曲を聴かせていただいておりました。

第二部では、冥丁さんのLPの音とともに呼吸ができることに深い喜びと感謝を感じています。

<公演概要>
しばしで舞踏
日程:2026年5月9日(土)

時間:
◎第一部
開場 15時
開演 16時〜(終演 17時予定/公演終了後に交流タイム)

◎第二部
開場 18時
開演 19時〜(終演 20時予定/公演終了後に交流タイム。第二部のみフード・ドリンクの注文も可能です)
*第二部の公演後は、22時まで「しばし ばー」として営業

場所:しばし(京都市左京区岡崎天王町76-16)

料金:3,000円+ワンドリンク
チケット販売サイト:sibasi-de-butoh-second-session.peatix.com

<プロフィール>
今貂子|いまてんこ
1980〜1994年「白虎社」に参加。2000年舞踏カンパニー倚羅座結成。京都・東九条の稽古場を拠点に活動を続け、2020年には今貂子舞踏公演「金剛石-Diamond-」にて、令和2年度文化庁芸術祭優秀賞受賞。日本の芸能の源流にみられる「たまふり(命の活性化)」の力に支えられたアバンギャルドな舞踏の探求を通じ、独自の境地を開拓している。
imakiraza.wixsite.com/kirabutoh
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青乃助藤妄|あおのすけふじもう
2017年、藍の染め場を設立し、職人・芸術家として京都で活動をスタート。2024年には、今貂子舞踏研究所の稽古場に参加し、表現することを学ぶ。藍や藍甕、道具や空間、ヒトやモノの記憶に息づく目に見えない者達を、藤妄は[妖怪]と呼ぶ。妖怪達の存在と空間、そして自身の身体が共存することを目標に表現をしている。本藍ぞめ、妖怪、どちらも藤妄自身の「生きる活動 」。
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Text: Shiori Kotaki